Webサイトのゲーム化・Gamificationについて思うところ

Webサイトのゲーム化とは?

Webサイトのゲーム化(Gamification)とは、普通のWebサイトにポイントなどのゲーム性を持たせることをいうらしいです。
http://jp.techcrunch.com/archives/20101019webpage-builder-devhub-sees-engagement-spike-after-embracing-gamification/

ゲーム化のメリット

以前から主張していたように、Webにゲーム性を取り入れると、上手く行くと思っていました。
ユーザーがゲームにはまると、結果的にWebサイトでのユーザーのアクティブ率やモチベーションを上げるからです。
悪意あるユーザーにはペナルティを課せば、ネガティブな動きを抑制する効果もあるのではないでしょうか。
ゲーム化することによってもたらされるメリットは以下のようなものが考えられます。

個人サイトをゲーム化した場合

閲覧者の積極的なフィードバックを得られるようになる。
例えば、ブログにコメントを残すとゲームポイントが得られるようなゲーム性をもたせた場合、ユーザーは積極的にコメントを残すようになるでしょう。
ゲーム内ランキングによって、ある程度のランキングのユーザーのコメントは管理者の承認なしに公開し、それ以外は承認が必要とすれば、悪意あるユーザーを排除しつつ、管理者の負担を減らすことができるようになります。

CGMをゲーム化した場合

ユーザーのアクティブ率を上げ、コンテンツが充実するようになる。
例えば、食べログなんかにレビューを書くとゲームポイントが得られるようなゲーム性をもたせた場合、ユーザーは積極的にレビューを書くようになるでしょう。
まだレビューが書かれていない店舗を開拓すると、通常よりゲームポイントが多く貰えるようにすれば、ユーザーは競うように新規開拓に奔走するでしょう。
ペナルティを与える機能を使えば、他店へのネガティブキャンペーンを抑制することも可能かもしれません。

ECサイトをゲーム化した場合

ユーザーの購買意欲を後押しし、購入率があがるようになる。
例えば、Amazonでアイテムを購入したらゲームポイントが得られるようなゲーム性をもたせた場合、ユーザーは他のサイトや書店で本を買うより、Amazonで買うことに積極的になるでしょう。
購入したアイテムのカテゴリによって、ユーザーに与える報酬のカテゴリを制限すれば、Amazonで本しか買わなかったユーザーが、もしかすると食料品も買うようになるかもしません。

実装するのは大変?どうしたら?

一様にゲーム化と言っても、一からゲームを制作するのにはコストがかかります。
簡単なゲームだと実装も簡単ですが、それだとユーザーに飽きられてしまい、意味がありません。
そこで出てくるのが、Webサイトを容易にゲーム化するサービスです。
BigDoorBadgeVilleなどがそういうものらしいです。
こういうサービスを利用することにより、既存またはこれから作るWebサイトに、容易にゲーム性を取り入れれるようになるでしょう。

ゲーム化サービスに求められる仕様

どんなものがゲーム化サービスにあれば魅力的になるでしょうか、少し考えてみました。

Webサイトを横断できるシステムの提供

ブログのようなWebサイトでは、ゲーム化したとしても、そのブログでのコメントは、そのブログのゲームのみにしか反映されないとしたら、魅力半減でしょう。
私のブログにコメントを書いても、あなたのブログにコメントを書いても、同じゲームでメリットを得られれば、ユーザーは横断的に活動するでしょう。
いつもはコメントを書かないブログに対して新規にコメントを書くと、ポイントが多くもらえるようなシステムにすれば、アルファブロガー以外でもフィードバックを享受できるようになるのではないでしょうか。

ゲームを横断できるシステムの提供

Amazonでアイテムを購入しても、毎回同じゲームのアイテムしか貰えないとしたら、魅力半減ですよね。
同じようなゲームをしているとユーザーは退屈してしまうのです。
ゲーム化サービスでは複数のゲームを提供しなければなりません。
それらゲームを横断して使える共通の通貨のようなシステムを構築するのも一つの手ではないでしょうか。

ポイントだけじゃないWebサイトがゲームへ影響できるシステムの提供

ポイントが貯まるだけでなく、例えばブログへコメントすると、ゲーム内のキャラクタがアクションを起こす、などの仕組みがあった方が面白くなるでしょう。

Webサイト側がゲーム情報を利用できるAPIの提供

ユーザーのゲーム内ランキングなどによってコメントの承認を切り替えたりするには、APIの提供が不可欠です。
ただし、ユーザーのゲーム情報も個人情報なので、過度な情報提供は差し控えるべきです。

Webサイト側がゲームをカスタマイズできるようにするシステムの提供

大手のゲーム化サービスが誕生すると、ユーザーの動きは鈍化するでしょう。
どこのWebサービスを利用しても、同じゲームのメリットがあるならば、新しいWebサービスに手を出さずとも良いからです。
それはゲーム化サービス会社にとってもマイナスにしかなりません。
Webサイトはゲームをある程度カスタマイズでき、他のWebサイトと差別化を行えるようにするべきです。
そうすることによって、ユーザーは新しいWebサービスを物色するようになるのです。
そしてWebサイトは競うようにゲーム化に傾倒していくでしょう。

ユーザーにペナルティを与えるシステムの提供

最後に忘れてはいけないのは、Webサイトがゲーム化するメリットの一翼を担う重要なペナルティシステムです。
悪意のあるユーザーを排除し、ネガティブなアクションを抑制します。
ペナルティは通報機能とは違い、ユーザーがユーザーを評価し裁くシステムにすべきです。
自動化によって運営者の負担を減らし、ゲーム性を使ったWebサイトの健全化を行ないます。

今後の動き

今後は日本のゲーム会社が参加するゲーム化サービスが誕生するのではないでしょうか。
むしろ、大手ゲーム会社がゲーム化サービスを立ち上げるのではないでしょうか。
昨今のソーシャルゲームに日本のゲームパブリッシャーが参入しているのは、(問題点は多くありますが)個人的には良い傾向だと思っています。
ゲーム業界にWebの技術を浸透させ、Webに参入する敷居を下げるからです。
Webにゲーム性をもたせると活性化・健全化すると述べましたが、そのためには、ゲームが面白くなくてはなりません。
日本が培ってきたゲーム企画・開発力を存分に発揮して、面白いゲームを作っていってもらいたいものです。